プロ野球は前半戦が終わり、いよいよ明日からはオールスター戦。
そんなタイミングで発売された『パワフルプロ野球2024-2025』をプレイしてみましたが、野球観戦が好きだからこそやるべきではないと感じてしまった。
そう感じた理由も含めて、『パワフルプロ野球2024-2025』のレビューを綴っていきます
作品概要
対応機種 | Nintendo Switch PlayStation 4 |
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プレイ機種 | Nintendo Switch |
発売日 | 2024年7月18日 |
ジャンル | 野球 |
レビュー時点のプレイ時間 | 約32時間 |
レビュー時点のプレイ状況 | 栄冠ナイン10年 レジェンドバトル 約1時間 マイライフ 憧れの現役選手編 約2時間 |
レビュー時点のソフトウェアバージョン | Ver. 1.1.0 |
良かった点
OPムービーと楽曲について
正直、本作にはあまり褒められる部分がなかったというのが率直な感想ですが、その中でもOPムービーと主題歌は良かったです。
パワプロシリーズのOPには毎回力が入っている印象がありますが、今作も例外ではなく、映像・楽曲ともに完成度が高いです。
サントラも入手したくらいには、OPの曲を気に入っています。
イマイチな点
全体編
タイトルについて感じたこと
今回のタイトル、正直ちょっと気になってしまいました。
「実況」や「eBaseball」が外れて、タイトルコール時は「パワフルプロ野球」としか言わないのですが、これがどうにも締まらないというか、ちょっとダサいなぁ…と。
eBaseball化をやめたのであれば、以前のように「実況パワフルプロ野球」に戻してもよかったのでは?と思ってしまいます。
あとは、「2024-2025」という表記には違和感がありました。
隔年発売であることを示す意図は分かりますし、実際わかりやすくはあります。
ただ、発売時点で「2024」、来年のアップデートで「2025」へ変更する形式の方が自然だったのではないでしょうか。
完全に主観ではありますが、今回のタイトルがダセェなと思った話でした。
バグについて
とにかく、バグが多いです……。
公式に告知されているものだけでなく、パワポイントが999,999になるバグなんかもありますね。
やり方はすでにYouTubeなどで紹介されており、手順も簡単で何度でも再現可能。これはもう、真の早期購入特典と言ってもいいのでは?とすら思えてきます。
こういったプレイヤー側に都合の良いバグは早々に修正されがちなので、修正される前に稼いでおきましょう。
他にも、「これはバグなのか、そもそも仕様が荒いだけなのか…?」と判断がつきにくい挙動も散見されます。
例えば、栄冠ナインで先発投手に指定した選手を野手にコンバートしても、先発設定が解除されず、試合で1/3イニングだけ投げてすぐ交代になるといった現象がありました。
進行不能とまではいかないにせよ、プレイに支障が出そうな挙動ですね。
最後にこういう納得のいかないプレイも…。
テンポが悪い
全体的にテンポが悪いです。
特に「栄冠ナイン」、「レジェンドバトル」、「マイライフ」といったモードはいずれも快適ではないため、プレイしていてダレやすい印象を受けました。
一応高速化はできますが、それでももっとサクサク進んでほしいと感じる場面が多く、テンポの悪さが快適さを損ねているように思います。
全体的にテンポが悪い。
栄冠ナインもレジェンドバトルもマイライフも非常にテンポが悪い。
高速化してももっとサクサク出来ないのかとすら感じるほど。
リアルな野球の面白さは超えられない
特に「栄冠ナイン」をプレイしていて感じたのが、リアルな野球の面白さには遠く及ばないという点でした。
例えば、セーフティスクイズを仕掛けたにもかかわらず、三塁ランナーがまったく動こうとしなかったり、「走ればホームに行けるかも」という場面でも、なぜか三塁で止まってしまう。
結果として、相手の送球ミスで点が入ったかもしれないのに、そもそもチャレンジしようとすらしない。
チャレンジしてアウトになるなら攻めた結果なので仕方ないとなるが、挑戦すらしないあたりにプログラムで制御された動きの限界を感じてしまいました。
それが非常につまらなく感じた理由の一つです。
人同士だからからこそ、こういうプレイも生まれるし、見ている側も興奮したり熱くなったりするわけだが、パワプロをプレイしてもそれがまったく感じられないんですよね。
残念ですが、ゲームはリアルな野球の面白さを超えることはないんだなと感じましたね。
野球なら大谷翔平選手、将棋なら藤井聡太さんのように、以前なら漫画やゲームの中だけの存在だったような人が、現実に登場しています。
それだけに、ゲームならではの体験を追求してほしいところですが、今のパワプロはそういった挑戦すらしていないように思えます。
このままなら、ボールが3つに分身するみたいなネタ路線じゃない限り、リアルな野球ゲームってプレイする必要性があるのかな…とすら感じてしまいました。
栄冠ナイン編
極端すぎる投低打高
今のプロ野球が投高打低傾向にあることへの反発なのか?と思ってしまうほど、本作では極端すぎるほどに投低打高です。
特に顕著なのが7回以降。こちらが投げる球を、相手打線がまるで待ってましたと言わんばかりにバカスカ打ち返してきます。
あまりにも不自然なタイミングで集中打を浴びるため、思わず「サイン盗みしてますか?」とツッコミたくなるような展開もしばしば。
理不尽に感じるレベルの打ち込み方は、ゲーム体験としてストレスしかありませんでした。
月曜だからって大会中や直前にテンションを下げるな

俺自身、仕事のある日の朝はめちゃくちゃテンションが下がるし、昨日も実際にサボったくらいなので、その気持ちは正直よくわかる。
そんな社会不適合者の俺が言っても説得力は皆無だけど、あえて言わせてほしい──大会中までテンション下げるのは違うのでは…?
野球は無理やりやらされて仕方なく…とかなら分かるが、やりたくてやってるんじゃないのか?
やりたくてやってるんだったら、「月曜日だから」という理由で大会中や直前でテンション下げるなよ…。
育成するのが馬鹿らしくなるバグ
投手を真面目に育てるよりも、野手にコンバートしてから再度投手に戻す──この繰り返しだけで能力がグングン伸びるという、馬鹿らしいバグがあります。

栄冠ナインという理不尽ゲーに立ち向かうために、利用する価値はあります。
でも、真面目な人ほどバカを見るじゃないけど、ちゃんとやっている方が損をするのには、一気に熱が冷めてしまった。
実際に一度試してみたけど、馬鹿らしくなってしまって、プレイそのものをやめてしまいました。
評判の仕様が理不尽すぎる
試合の勝ち負けによってチームの評判が増減する仕様になっているのですが、その基準がどう考えてもおかしい。
自分達より格下のチームに負けたり、同格の相手にコールド負けするような展開で評判が下がるのは納得できます。
だが、2勝1敗という成績で、その1敗の相手が明らかな強豪校だった場合でも、その2勝の内容が帳消しどころかマイナス扱いになるレベルで評価が下がるのはさすがに納得いきません。
しかも、格上相手に延長11回まで戦ったうえでの敗北──これでガッツリ評判が下がるのは萎える。
努力や善戦がまったく評価されず、敗北は死あるのみみたいな扱いになるのは、ゲームとしてモチベーションを下げる要因にしかなっていないと感じました。
戦力差とは何なのか
オート試合時に、こちらの打撃・守備能力が相手を上回っており、登板している投手の能力も勝っているにもかかわらず、一方的にバカスカ打たれる展開が珍しくありません。
明らかにこちらの戦力が上なのに、なぜかウチの投手だけが簡単に打たれ、三振すら取れない。


相手は能力の劣るピッチャーでも普通に抑えてくるのに、こちらだけが崩される──もう「バランスが悪い」というレベルではなく、ゲームとして崩壊しているようにすら思えます。
理不尽な展開の連続で、プレイヤーとしてはストレスがどんどん蓄積されていくばかり。
正直、栄冠ナインは早死にしたい人におすすめと言いたくなるくらい、精神的にキツいモードだなと感じました。
レジェンドバトル編
単調すぎる
このモードでは、キャラを作って、4人の現役選手を突破した後に登場するレジェンド選手を相手にする──基本的にそれだけです。
操作も単純で、野手ならヒット以上を打つ、投手なら打ち取る、ただそれを繰り返すだけ。
正直なところ、この繰り返しに何が楽しいのか、最後まで分かりませんでした。
最後に
今回は『パワフルプロ野球2024-2025』を紹介しました。
パワプロと同い年である大谷翔平選手をアンバサダーに起用するという大々的な宣伝をしていましたが、正直それすら失礼に思えるほど、非常に質の低い作品でした。
30周年記念作品として、もっと気合を入れて丁寧に仕上げるべきだったと思いますが、実際はバグだらけ・バランスも悪い・前作と大きな違いもないといった状態で、がっかり感が強かったです。
個人的に前作で最も遊んだ「パワフェス」についても、今回はプレイ前から漂うクソゲー臭が漂っていて、手をつける気にすらなりませんでした。
全モードを遊んだわけではないので、どこかに面白い要素が隠れている可能性はゼロではありません。
でも、「もうこれ以上プレイしたくない」という気持ちが勝ってしまったのが正直なところです。
今回のパワプロは、大谷選手を起用しておけば一定層は釣れるだろうという考えが透けて見えるし、未完成のまま発売して、ユーザーにデバッグさせてアプデで何とかすればいいやと思ってるんだろ?
コナミはスマホ版パワプロで成功していることもあり、意図的に家庭用のクオリティを下げて、ユーザーをスマホ版へ誘導しているのでは?と思ってしまうほど。
まぁ、ユーザーを舐めてるんだろうなと思いましたね。
というわけで、俺はさっさと売って、本作とはおさらばすることにします。
それでは、また。
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