おはこんばんちは。
今回レビューを書くにあたって、『ドラゴンクエストIII』がこれまでに発売されたプラットフォームや発売日を調べてみたのですが、思っていた以上に多くの機種で展開されていたんですね。
俺はこれまでプレイしたことがなかったので、本作が初めての『ドラクエIII』体験となりました。
それでは、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…I』のレビューを綴っていきます。
作品概要
対応機種 | Nintend Switch PlayStation 5 Xbox Series X|S Windows(Steam・Microsoft Store) |
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プレイ機種 | PlayStation 5 |
発売日 | 2024年11月14日 Nintend Switch PlayStation 5 Xbox Series X|S Windows(Microsoft Store) 2024年11月15日 Windows(Steam) |
ジャンル | RPG |
レビュー時点のプレイ時間 | 約50時間 |
レビュー時点のプレイ状況 | ストーリークリア 難易度:バッチリ冒険 |
レビュー時点のソフトウェアバージョン | Ver.1.000.000 |
良かった点
戦闘高速化のありがたみ
「何もない」と言いたいぐらいですが、これがなかったらクリアする前に売っていたと思うので、あえて挙げておきます。
戦闘を高速化できるのは本当にありがたかったです。
正直、最大高速化の状態をデフォルトにして、さらにその上の段階があってもよかったと思えるほど。
初期の戦闘速度は遅すぎて、正直かなりのストレスだったので、高速化機能が無ければモチベが保てなかったですね。
イマイチな点
探索がまったく楽しめなかった理由
ストーリーを進めるために目的地を探したり、色々と探索する場面があるのですが、正直まったく面白くありませんでした。
その理由を以下に挙げていきます。
以下のうちどれか1つでももう少しマシだったら、印象は違っていたかもしれないんですが……そうならなかったのが残念です。
無駄に広すぎるマップ設計が不快
まず、マップが無駄に広すぎる。

正直に言って、こういう作りは全く好きになれないですね。もちろん一本道ばかりだと味気ないので、ある程度の回り道は必要だとは思います。ですが、本作は意図的に遠回りをさせようとしているのが露骨すぎて、かなりしんどかったです。
このゲーム自体、ボリュームはあまり多くないので、マップの広さでプレイ時間を稼ごうとしているのが見え見えなんですよね。だからこそ、余計に不満を感じました。こういった「引き伸ばし」は、プレイヤーの時間を軽視しているようにすら感じてしまいます。
最近のゲームではあまりこういった不快感を覚えることがなかっただけに、久しぶりに嫌な気分になったポイントでした。
移動速度の遅さがストレスに
移動速度が遅すぎると感じました。常にダッシュしていましたが、それでももう1段階速くしてほしいぐらいです。先に挙げたように、広くて遠回りを強いられるマップでこの移動速度は合っていません。
後半で開放される船も遅く、さらにラーミアも遅いです。空を飛べるようになってようやく移動の遅さから解放されたと思ったのに、ラーミアの速度には正直絶望しました。ラーミアでしか行けない場所が近場でも、ルーラで移動してからラーミアに乗るほうが効率が良いというのはバランスがおかしい。
ちなみに、着陸時だけ普段の遅さからは想像できないくらい速く降りるのは笑ってしまいました。だったら、最初からその速度で移動してほしいですね。
エンカウントの多さ
エンカウントが多すぎます。エンカウント自体は経験値稼ぎになって後半が楽になるので、これだけなら歓迎できるのですが、先に挙げた移動速度の遅さやマップの広さと組み合わさると、途端に苦痛になります。
目的地になかなかたどり着けず、宝箱探しのために行き止まりまで行っても何もないことも多いです。移動速度が遅い中で何度もエンカウントが発生するのは、本当にしんどかった。
結局のところ言いたいのは同じなのですが、ボリュームの薄さをこうした要素で誤魔化そうとしているのがあまりにも見え見えで、正直かなり残念でした。
目的地ガイドのON/OFFが極端
あらかじめ目的地を地図上に表示する機能があり、ON/OFFを選べます。冒険の一環として目的地を自分で探すのも楽しそうだったので、最初はOFFでプレイしていました。
ただ、探索があまりにも面白くなさすぎて、だんだん面倒になり、最終的にはONに切り替えました。とはいえ、このガイド機能、ONとOFFの差があまりにも極端じゃないか?と感じたんですよね。
探索がもっと楽しかったら、手探りで目的地を探すのも全然アリなんですが、例えば住人との会話からヒントを得て、それが地図に書き込まれるような仕組みがあってもよかったと思います。
今の仕様だと、ONにすると「まだ行っていない場所までガッツリ表示」、OFFにすると「何も分からないまま彷徨うだけ」という極端さがあって、正直バランスが悪い。
せっかくのHD-2Dリメイクなんだから、住人と会話してヒントを得ながら自分の手で道を切り開く、そんな“冒険してる感”が欲しかったですね。
まぁ、先に挙げた「探索がまったく楽しめなかった理由」がもう少しマシだったら、OFFのまま最後まで遊んでいたかもしれませんが…。
ストーリーのテンポが悪く、没入できない
ボイスがあること自体は悪くないんですが、なぜか違和感を覚えていて──最初は「慣れていないからかな」ぐらいに思っていました。
でもよくよく考えてみると、もともと没入感が薄いストーリーなのに、そこへボイスが加わることでテンポの悪さが際立ってしまっていたんですよね。
ストーリーの進行も「目的地に行ってください→次はこれをしてください」という流れの繰り返しで、進行がワンパターンに感じられてしまいました。
探索自体が面白くないうえに、ようやく目的地に着いたと思ったらムダに長い演出が入るのもつらいところ。
正直、ボイスなしでテンポよく読み飛ばせる仕様のほうがありがたかったかもしれません。
敵キャラが小さすぎて迫力に欠ける
敵、ちょっと小さくないですか…?
最初はカメラアングルのせいかと思ったんですが、正面から見てもやっぱり小さいんですよね。

スライムならそれでも納得ですが、トロールのような大型モンスターにもっと迫力が欲しかったです。
ボス級の敵も「そこまで大きいってわけでもないなぁ」と感じてしまって、強敵に勝った達成感があまり湧かなかったのは残念でした。
思い通りに狙えないターゲット仕様
本作の前にプレイしていたのが『ドラクエ11 』なので、そちらからこの仕様だったのかは正確には覚えていませんが、同じ種類の敵が複数出た場合、自動でグループ分けされてしまい、任意で個体を狙うことができません。
例えば、スライムA・B・Cが出現していて、こちらが単体攻撃3回+最後に全体攻撃を当てて一掃したいと思っても、攻撃対象がグループ内でランダムに選ばれてしまうため、計画的な攻撃ができません。
特にこれが「はぐれメタル」のような一撃で倒したい敵の場合だと致命的で、狙いを定めて確実に仕留めたいのに、それが許されない仕様にはかなりストレスを感じました。
HD-2Dの良さを感じられない
『オクトパストラベラー』や『ライブアライブ』など、他のHD-2D作品では、フィールド上のキャラクターがまるで飛び出す絵本のように立体感と奥行きを持って動いており、そのビジュアルがストーリーへの没入感を高めてくれていました。
しかし本作『ドラクエ3』に関しては、そうしたHD-2Dならではの奥行き感やワクワク感が全く感じられませんでした。
「ドラクエ3をHD-2Dでどう魅せるか」という発想自体が存在していないように感じるし、実際にそういった工夫も見受けられませんでした。
同じHD-2D作品でも、『オクトパストラベラー』や『ライブアライブ』にはそれぞれしっかりと個性があり、演出に「その作品らしさ」があったんですよね。
それに比べて本作は、「ドラクエ3ならではのHD-2D表現」というものが感じられず、見た目がただHD-2Dになっただけという印象が強かったです。
HD-2Dという表現自体は俺も『オクトラ』で初めて見たときに衝撃を受けたほど好きな手法なのですが、本作はその魅力を活かすどころか、むしろHD-2Dの良さを薄めてしまっているように感じて、非常に残念でした。
最後に
今回は『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を紹介しました。
俺の中ではGOTY2024(Gomigame of the Year 2024)にノミネートされるレベルの作品でした。
色々と気になる点はありましたが、結局のところ「探索の面白くなさ」が本作すべてを台無しにしている根本的な要因だと思います。
これまで『ドラクエ3』をプレイしたことがなかったので、今回のリメイクはかなり楽しみにしていたのですが、ここまで苦痛になるとは正直予想していませんでした。
クリア後に追加要素こそありますが、それ以外は「オリジナルをHD-2Dにしただけ」で終わっている印象。
システム面も今の時代に合わせた調整がされておらず、古臭さだけが際立ってしまっていたと感じました。
率直に言えば、ドラクエというブランドにあぐらをかいているようにしか見えなかったですね。
「手を抜いても100万本売れるだろうし、小遣い稼ぎで『FF7リバース』のコスト回収を狙ったのでは?」と勘繰りたくなるレベルです。
この出来では、『ドラクエI&II』や『ドラクエXII』に対する期待も正直かなり下がりました。
まぁ、『ロマサガ2R』が良すぎただけで、これが本来のスクエニクオリティなのかもしれません。
主力タイトルですらこの仕上がりでは、スクエニは「そして買収へ…」…なんて冗談が現実になる日も近いかもしれません。
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