おはこんばんちは。
こっそり応援しているspriteから、約10年ぶりの完全新作『everlasting flowers』がついに発売されました!
俺がspriteを知ったのは、Switch版『蒼の彼方のフォーリズム』がきっかけでした。そこから他の作品にも手を出すほどに、spriteが好きになりました。
一度は解散したspriteですが、そこから復活し、復活後最初の作品がこの『everlasting flowers』です。
そんな思い入れのあるspriteが送り出した最新作『everlasting flowers』のレビューを綴っていきます。
作品概要
対応機種 | Nintendo Switch PlayStation 4 Windows(Steam) |
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プレイ機種 | Nintendo Switch |
発売日 | 2024年8月29日 |
ジャンル | 文学的 FILMIC NOVEL |
レビュー時点のプレイ時間 | 約9時間30分 |
レビュー時点のプレイ状況 | ストーリークリア オートで最初から最後まで読み進めた |
レビュー時点のソフトウェアバージョン | Ver. 1.0.1 |
良かった点
魅力的なストーリー
sprite作品のストーリーはどれも神だと思っているのですが、本作も例に漏れず神でした。
人生のどん底にいる坂下深菜が、居場所を求めてやってきたペンションで星野蘭と出会い、夏の1ヶ月を過ごす中で少しずつ変わっていく、そんな成長の物語です。
深菜はとにかく自分に自信が持てないネガティブな女の子ですが、ペンションでの生活を通じて徐々に明るさを取り戻していきます。
ただ、それ故に…という展開がまた良くて、胸にくるものがありました。
蘭は快活で明るい女の子ですが、過去の出来事を掘り下げていくにつれて、彼女の抱えているものが見えてくるんですよね。
先の展開がどんどん気になって、自然と読み進めたくなったし、正直かなり泣けました。
あと、序盤の描写が伏線になっていて、2周目をプレイすると新たな発見がある構成も良かったです。
ちなみに俺自身は2周目をやったわけではないんですが、8月末に一度プレイして中断し、訳あって最初からやり直したことで、そういった伏線に気づけた部分もありました。
語彙力が足りなくてこの作品の魅力を語りきれないのがもどかしいですが、ひとつだけ確実に言えるのは「最初の一歩を踏み出す勇気」をもらえたことです。
深菜がペンションにやってきたように、俺も昨日でニート生活を卒業し、本日から新しい職場で働くことになりました。
ちなみに、最初からやり直した理由というのが、これだったりします。
不安はあっても、まず一歩を踏み出すこと。できることをやってみること。
この作品からは、そんな前向きなメッセージを受け取れた気がします。
そして最後に触れておきたいのが、タイトルの意味。
『everlasting flowers』という言葉の意味も、プレイすれば感じられると思いますが、サブタイトル(?)の “Where there is a will, there is a way” にもぜひ注目してもらいたいと思いました。
圧巻のCG枚数
ジャンルにもなっているFILMIC NOVELのコンセプトのひとつに、長さよりもクオリティ・多彩なCGによる演出を重視という方針がありますが、その言葉どおりCGの枚数がとにかく凄いです。
ストーリー自体はそこまで長くないものの、ほぼ1シーンごとにCGがしっかりと用意されていて、会話や感情に合わせた演出がとても丁寧です。
一つひとつのやり取りに寄り添うようなCGが挿入されることで、没入感が一気に高まります。
どういうものかは、sprite公式の紹介動画を見ればすぐに伝わると思います。
また、一粒の涙のための差分が用意されていたり、序盤の深菜には目の下にクマが描かれていて、それが物語の進行に伴って消えていくといった細かい描写にも、しっかりと作り込みを感じました。
ちょっとゆる~い雰囲気のCGもあったり、おいしそうな食べ物も…。


泣かせにくる神曲たち
spriteといえばElements Garden。
今回も例にもれず、神曲をオールウェイズ提供してくれました。
今作のBGMはピアノとバイオリンが中心で、ところどころにギターも感じられる構成。
これらが『everlasting flowers』の物語や描写に、新たな彩りを加えてくれています。
正直、この作品で何度も泣かされたんですが、その大半はBGMの影響が大きかった気がします。
感情を引き出す音の力が半端じゃない。
そして何よりずるいのがテーマソング。
OPは本作で描かれる“負の感情”から立ち直っていく過程を描いた内容で、EDは物語の終盤からその先へ向かっていくような歌なんですよね。
どちらも本当に世界観にピッタリで、まさに神曲。
「どんだけ泣かせに来てるんだよ…」と、思ってしまうほどでした。
少人数だからこそ光るキャラクターたち
本作に登場するキャラクターは、正直言って少ないです。
メインキャラと呼べるのは5人ほどで、『あおかな』などと比べると登場人物はかなり絞られています。
でも、その5人だからこそとも思っていて、どのキャラクターも個性が際立っていて、一人でも欠けていたら、あるいはこの声優さんじゃなかったら、この作品は成立しなかったんじゃないかとすら思うほどです。
特に印象に残ったのが美智子さん。
厳しさと優しさを併せ持つ人物で、深菜や蘭のような子をこれまでにもたくさん見てきたんだろうな…と感じました。
おそらく彼女自身も、過去に陽子という友人に救われた経験があったんじゃないかな。
どういう人生を歩んできたのか、もっと知りたいと感じさせるキャラでした。
イマイチな点
オート時の挙動について気になったこと
システム面で気になったのは、オートモード中にホームボタンを押してホーム画面に戻っても話が進んでしまう点です。
プレイ中にトイレに行きたくなってホーム画面に戻り、用を足してから再開したら、なんだか会話がおかしいことに気づきました。
バックログを確認すると、納得のいく内容だったのでそこで合点がいきました。
ちなみに、本作のアップデート情報でもこの件は挙がっていて、ホーム画面中の挙動は現在検討中とのことです。
アップデート予定にはオートモードのショートカット機能もあり、これでON/OFFが切り替えられるようになると便利だと思います。
そうなれば、ホーム画面時の挙動も気にせず遊べますからね。
なおSteam版はすでに対応済みですが、スイッチ版は技術的な問題なのか任天堂の審査の関係なのか、対応に時間がかかっているようです。
HUDの気になる表示と今後の対応
このCG、メチャクチャ綺麗ですよね。
俺は人のイラストで惹かれるのは目なんですが、この目は本当に引き込まれます。
それはさておき、その綺麗さゆえに右上に表示されているHUDがすごく気になってしまいました。
イラストは右寄りに配置されているので、余計に目立つんですよね。

ですが、安心してほしい。
この問題もすでにアップデート予定リストに入っていて、Steam版ではすでに対応済みです。
スイッチ版はまだ対応していませんが、技術的な問題なのか審査待ちなのか、理由はわかりません。
これがスイッチ版でも実装されれば、FILMIC NOVELのコンセプトであるストーリー・ビジュアル・音楽を融合させた映画的作品の魅力がさらに高まるはずです。
早くスイッチやPS4でも実装されることを期待しています。
ストーリーが良すぎるが故のジレンマ
これはFILMIC NOVELのコンセプトの一つである長さよりもクオリティ・多彩なCGによる演出を重視を否定する話になるかもしれませんが、否定したいわけではないので先に触れておきます。
ストーリーの中で1週間ほど時間が飛んでしまう部分がありますが、成長を描くうえでその飛ばされた1週間もぜひ見てみたかったという気持ちがありました。その間に何を感じてどう過ごしたのか、そういった細かい描写もほしかったですし、成長の過程を1日ごとに描いてほしいという欲も出てきました。
ただ、それをやってしまうとCGの枚数が増え、プレイ時間も長くなってしまうため、作品のコンセプトにはそぐわなくなってしまうという難しいところでもあります。
それだけにストーリーが良すぎるゆえに、もっと『everlasting flowers』の世界に浸りたいんだろうなと思います。
さらに言えば、『あおかな』でいうEXTRA1やEXTRA2のような追加シナリオも欲しい気持ちもある一方、今のまま美しく完結してほしいとも思う。正直、自分でもどうしたいのかわからなくなるくらい複雑な気持ちです。
バックログの挙動について気になった点
イマイチというわけではないですが、気になったネガティブな要素で、公式に報告済みかつ回答もあったので記載します。
Switchの場合はXボタンか十字キー/スティックの上操作でバックログが開けますが、実はバックログの挙動に少しおかしな部分があります。
Xボタンの場合は問題ありませんが、Xボタン以外の操作でバックログを開くと、直近のバックログではなく一番古い内容が表示されることが確認できました。
やり方としては、上を一度押して離した後、再度上ボタンを長押しすると発生します。
実際にバックログを使った際に、気づかず話がかなり前まで戻ってしまったことがありました。
俺はたまたま気づきましたが、ボイス登録をする際などには注意が必要かもしれません。
バックログ自体が非常に長いため仕様の可能性もあると思いつつ、公式に問い合わせたところ、バグだったとの回答があり、俺の報告内容がアップデート予定欄に掲載されていました。
俺はスイッチ版のみプレイしていますが、PS4版も同じ挙動のようなので、改善されると嬉しいです。
もし他にもバグや機能改善の要望があった場合には、このページ内にある機能改善・バグ報告フォームから報告ができる。
最後に
今回は『everlasting flowers』を紹介しました。
PVや紹介映像などの前情報を一切入れずにプレイしましたが、やっぱり神ゲーでした。
俺の中では安心と信頼のspriteだから、spriteが新作を出す? → じゃあ買うわ、なので前情報はやっぱり必要ないなと再認識しました。
本当にspriteは神作品をオールウェイズ提供してくれます。
解散して復活など大変な時期もあったと思いますが、相変わらずのクオリティの高さで安心と信頼はダイヤモンドよりも強固なものになりました。
分岐は無いのでゲームとしてどうなんだろうとは思いましたが、映画やアニメとはまた違った没入感がありました。
アニメのように動くことはないけど性質上、最初から最後まで通して見るのは難しい。
映画だと時間的に物足りない。
そういう意味でこのぐらいのプレイ時間ならゲームがちょうどいいのではないかと思いました。
大画面でオート機能を有効にするだけなのに充実感は半端ないです。
とにかく『everlasting flowers』は全人類にプレイしてほしい、いやプレイすべき作品です!
それほどのものだったし、spriteの次回作にも期待したい。
何年経っても俺は待っています。
それでは、また。それでは、また。
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