おはこんばんちは。
Switch2のローンチタイトルが発表された段階で、移植ではなく完全新作という点から注目していた1本。
アイドル系のゲームはこれまで手に取ったことがなかったのですが、どんな作品なのか楽しみにしていました。
それでは、『シャインポスト Be Your アイドル!』のレビューを綴っていきます。
作品概要
対応機種 | Nintendo Switch 2 |
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プレイ機種 | Nintendo Switch 2 |
発売日 | 2025年6月5日 |
ジャンル | アイドル×経営シミュレーション |
レビュー時点のプレイ時間 | 約55時間 |
レビュー時点のプレイ状況 | 全キャラクターの個別エンディング達成 全キャラクターのバレンタインイベント達成 全グループ武道館ライブ成功 ヒロインストーリーズ読破 |
レビュー時点のソフトウェアバージョン | Ver. 1.0.0 |
プレイ動画
良かった点
とっつきやすいメインモード
本作のメインモードでは、5年間で武道館ライブを成功させることが目標となります。
プレイヤーはアイドルたちの育成やスケジュール管理をしながら、マネージャー兼経営者のような立場で彼女たちを導いていきます。
アイドルは全23人。その中から毎年10人が登場し、そこから5人を選んでユニットを結成する形式になっています。原作を知らなくても自由に選べる設計で、実際俺も見た目の好みだけでメンバーを選出していました。
ユニットの組み合わせによって特別なイベントが発生することもありますが、原作を知らないと楽しめない、ということはまったくありません。
実際にHY:RAINのメンバーを揃えてプレイしてみたものの、5人全員の特別なイベントは発生しませんでした(もしかすると条件次第で起こるのかもしれませんが…)ので、その意味でも、組み合わせは完全に自由。プレイヤーの好みに応じて気軽に編成できる、とっつきやすさを感じました。

アニメは中野サンプラザで物語が完結しているため、メインモードでTINGSを揃えて武道館ライブを目指すというプレイも、その先をプレイヤーが描けるので面白いと感じました。
なお、TINGSでの武道館ライブはヒロインストーリーズでも描かれますが、最初はゆきもじ視点で進行するため、最初からTINGSを揃えたプレイもアリだと思います。
ストーリーそのものはシンプルな構成ながら、バッドエンドや分岐によって変化する展開もあり、一つ一つのエピソードは丁寧に作られている印象です。
バッドエンドが武道館ライブ成功の原動力になる
このモードでは、5年間で武道館ライブを成功させることが目標になります。
まず最初の3年間は、5人のアイドルと契約を結び活動を進めていきますが、1期生は3年目までに武道館ライブを成功させなければ、強制的に解散という厳しいルールがあります。
しかも、1期〜3期までのどの世代でも1組でもライブに失敗すれば即バッドエンド。一発アウトです。さらに厳しいのは、解散したユニットのその後は一切描かれないこと。名前すら出てこず、物語から完全にフェードアウトします。
……世知辛いですねぇ。
1期生は、施設も何もない状態からのスタート。一方3期生になると、環境がかなり整っており、育成のしやすさが段違いです。実際、自分も初見では3期生だけ成功できたという状態でした。たぶん多くのプレイヤーが同じような経験をしているのかなと思います。
つまり、スタートラインが明らかに違うにも関わらず、その差を一切考慮しないルール設計になっている。
「夢を追うアイドルたち」が、まるで経営判断ひとつで切り捨てられる駒のように扱われているのが本当に不公平で、心底納得がいきませんでした。
施設もない、環境も整っていない中、それでも夢に向かって努力してきた1期生が、たった3年で結果が出なかったからといって強制解散。
「この経営者兼マネージャー、刺されても文句言えんだろ」と本気で思いました。
でも、そんな憤りをすべて代弁してくれたのが小夢さんでした。言いたいこと全部言ってくれたあの瞬間は本当に救われましたし、今度は絶対に全グループで武道館ライブを成功させてやると思えましたね。

このバッドエンドは、正直スッキリするものではありません。
現実のアイドル業界の事情は分かりませんが、理不尽すぎるこの状況がとにかく辛い。
だからこそ、「もう二度とバッドエンドにしないためにどうするか」を考える強い原動力になりました。
そして、ついに全グループの武道館ライブを成功させた時は本当に心から込み上げてくるものがありました。
アイドルのライブにはこれまで一切興味がなく、行ったこともなかった自分が、ここまで感情を動かされたことにびっくりしていますが、それだけの力がこの作品にはあります。
ヒロインストーリーズも作り込まれている
メインモードは、本作から登場したキャラクターも含めた全23人を自由に選べるオールスター仕様で、原作に沿った構成にはなっていません。
このモードでは、原作に登場する嘘を見抜く能力を持った敏腕マネージャーが、TiNgS以外のユニットを担当したらどうなるかという、ifの世界線が描かれています。
自分も最初は『シャインポスト』の原作をまったく知らない状態でこのモードをプレイしましたが、ストーリーは非常に良く、未視聴でも問題なく楽しめました。
とはいえ、やはり原作を知っているとより深く楽しめる構成になっているのは確かです。

俺はより楽しみたいと思い、一通り終わらせた後にアニメを全話視聴しましたが、これがまた非常に良かった。
本作のストーリーの完成度は、アニメと同じくしっかり作り込まれていると感じました。
原作ファンにも、新規プレイヤーにも配慮された構成で、丁寧な作りが印象的です。
今ならアニメもサブスクで気軽に見られるので、ゲームをプレイする際に原作にも触れておくと、より楽しめると思います。
個性豊かで能力もこだわったキャラクターたち
本作には、ゲームオリジナルキャラクターも含めて総勢23人のアイドルが登場しますが、どのキャラもしっかり個性が立っていて被りがないのがすごい。
23人もいれば似たようなタイプが出てきそうなものですが、アイドルだけでなく、小夢さんのようなサポート側のキャラまでしっかり差別化されています。
それだけでなく、キャラクターごとの能力設定もしっかり考えられている印象を受けました。
特にアニメを視聴してからだと、TINGSの能力値が原作の描写とリンクしているのがよく分かります。





- 春:全体的にバランスの取れたオールマイティな最強型。それぞれの性格や描写にきちんと裏付けがあって、細部まで作り込まれていると感じました。
- 杏夏:安定感はあるけれど、それ以上の評価をされない描写があり、それが平均的な能力として反映されていますが、挫けず立ち直る強いメンタルも数値に表現されています。
- 理王:アニメではダンスやスタミナに不安がある一面が見られるけど、『Yellow Rose』で会場を一変させるほどの歌唱力を見せており、ゲーム内でもボーカルの数値が高い。
- 紅葉:アニメでキレのあるダンスを披露しており、そのままダンス能力が高めに設定されています。
- 雪音:リーダー的立場で周囲を引っ張る姿勢が印象的で、カリスマ性が高く設定されていました。
ちなみに俺の推しは青葉なんですが、アニメを見た後だと理王もめっちゃ良いなって思ってます。
ただ凪もかわいいし、ヒロインストーリーズの蓮も良いし、正直どのキャラも魅力的すぎる。
ちなみに、理王と誕生日が同じだったのはちょっと驚きでした。
ライブ演出とキャラの動きに見惚れる
やっぱり本作の魅力は、ライブ演出のクオリティの高さにあると思います。
タワレコのような小規模な会場から、最終的には武道館のような大規模ステージへ。
会場のスケールが段階的に大きくなっていく過程も楽しいし、何よりアイドルがしっかり動いてくれるのが本当に良かったです。




ちなみに、好きなアイドルを自由に組み合わせてライブを楽しめるのは、AI歌声ライブラリの存在が大きいらしいです。
AIと聞くと否定的な意見もあるかもしれませんが、キャラごとに全パターンを人力で収録するのは現実的に難しいし、プレイヤーにより多くの選択肢を提供するための技術として使われるなら、全然アリだと俺は思います。
アニメと同じ組み合わせでライブをしてみると、若干の違いは感じるものの、そこまで大きな違和感もなく自然に聴けるし、
こうした技術のおかげで“自分だけのグループ”や“好きな配置”を自由に楽しめるのは本当にありがたいですね。今後どう進化していくのかも楽しみです。
さらに驚いたのが、育成状況によって歌の上手さに違いが出るようになっているという点。
これは単なる演出以上に、成長が実感できる大きな要素だと思います。
ただ、育成状況による変化は、正直俺にはそこまでわかりませんでした。
そこで何となくですが、メンタル不調時と通常時の歌声にも違いがあるのでは?と気になって、以下の動画で比較してみました。
聞き比べてみたところ、確かにメンタル不調状態のほうが元気がない感じがあるんですよね。
それがミスによる影響なのか、メンタル不調による演出なのかまでは分からないですが、こうした細かい変化を表現できているのは本当にすごいと思います。
ライブ以外の場面でも伝わるキャラの魅力
本作はライブシーンに注目されがちですが、日常の会話パートやイベントシーンでもキャラクターの表情や動きが非常に丁寧に作り込まれているのが印象的でした。
セリフに合わせて表情がくるくると変わったり、ちょっとした仕草や体の動きが自然に入っているおかげで、静止画的な違和感がなく、まるで会話に命が宿っているように感じます。
特に良かったのが、アイドルとしてのキラキラした姿とは違う、日常的で素の一面が垣間見える点。そうしたギャップがキャラクターに深みを与えていて、より親しみが持てるようになっていました。

アイドル=完璧でキラキラした存在、という印象が先行しがちですが、その裏にある人間らしい部分が垣間見えることで、よりキャラクターに愛着が湧く作りになっているのは素直に凄いなと思いました。
魅力的な楽曲たち
色々な楽曲が収録されていますが、どれも外れなしで本当に良いですね。
5人用の曲はもちろん、TiNgS・ゆらシス・FFFといった少人数ユニット用の楽曲があるのも非常に嬉しいポイントです。
ライブビューワーでは、アニメの再現のような演出も楽しめますし、「このアイドルにこの曲を歌ってほしい」といった組み合わせも自由にできるので、いろんなパターンで楽しみたくなります。
ただ、「On Your Mark!!」が収録されていないのは少し残念。DLCで楽曲追加が来てくれたら嬉しいですね。
ちなみに、シャインポストの楽曲はApple Musicでも配信されているので、全曲ライブラリに入れておきました。
これからプレイリストを作って、ウォーキング中のBGMとして活用する予定です。聴きながらゲームの余韻に浸るのも良いですね。
イマイチな点
イベントを振り返る要素が欲しい
メインモードではかなり多くのイベントが用意されており、中には特定のアイドル同士の絡みもあって楽しめました。
ただ、体感では「かなりの数がある」と思っているのですが、これを体感としか言えない理由があります。
というのも、イベントの総数や、どれだけ見たかを確認できる機能が存在しないため、自分がどこまで見たのか把握できないんですよね。
さらに、回想としてシーン単体を振り返ることもできないので、見返したいイベントがあっても再確認ができないのが非常にもったいなく感じました。
個人的には、主人公とアイドルのやり取りや、アイドル同士のイベントの振り返り、イベントCG集の閲覧機能などが欲しかったですね。
主人公とアイドルのやり取りは、『ファイアーエムブレム』でいう支援会話のような関係性の積み重ねなので、たまに振り返って浸りたくなる瞬間もあります。
それだけに、後から見返せないという点は惜しく感じました。

3年目を越えると難易度が下がる
本作で一番難しいのは、3年目に一期生を武道館ライブで成功させるところです。
でも4年目からは一期生が卒業して、マネジメントする人数が減る分、だいぶ楽になります。年数が進むごとに施設のレベルも上がり、資金にも余裕が出てくるので、全体的に難易度が下がっていくのはちょっと気になりました。
3年目を乗り越えたあとは、もう軌道に乗った会社のようなもので、プレイとしては”ウイニングラン”に入った感覚ですね。
とはいえ、最後のグループで武道館の予約を忘れたり、セットリストに5人全員で歌う曲を3曲以上入れないといけないのに2曲しか選ばないなど、うっかりやらかすこともあるので注意です。完全に無能マネージャームーブでした……。
最後に
今回は『シャインポスト Be Your アイドル!』を紹介しました。
Nintendo Switch 2のローンチ作品は、他機種とのマルチ展開が多い中で、本作は完全独占タイトルということもあり、買わないという選択肢は最初からありませんでした。
ちなみに『シャインポスト』という作品は、ラノベやアニメなどで展開されていたようですが、俺は今回プレイするまで存在すら知りませんでした。でも、ゲームをきっかけにアニメを全話視聴してみたところ……めちゃくちゃ良くて、ブルーレイを買おうか本気で悩んでいます。原作を知らなくてもゲームは楽しめるけど、知っていたらもっと楽しめるタイプの作品ですね。

ストーリーの完成度も高く、キャラクターや楽曲も含めて、非の打ち所なし。
ガチで泣いた神アニメでした。
今ならU-NEXTやdアニメストアなどのサブスクで視聴可能ですし、期間限定でYouTubeでも全話公開されているので、俺と同じようにSwitch2版で初めて知った人にも、ぜひ作品に触れてもらいたいです。
今回はたまたまSwitch2の独占タイトルという理由で手に取った結果、本当に良い作品に出会えました。もともとスマホ向けに開発されていたタイトルが、Switch2専用として生まれ変わってくれたことに感謝しかありません。
Switch2と一緒に買って絶対に損はない神作品だと思っています。
『マリオカート ワールド』が定番の選択肢かもしれませんが、『シャインポスト』も同じくらい勧めたい一本です。それぐらい完成度が高くて、遊んで良かったと心から思える作品でした。
ちなみに俺はパッケージ版を購入したあと、さらにデジタルデラックスエディションも買い直しています。
そしてこれで終わりじゃなく、ぜひDLC展開にも期待したいところです。たとえば「On Your Mark!!」が未収録だったりと、追加楽曲の可能性を匂わせている部分もあるので、まだまだ続いてほしいですね。


ここまで色々語ってしまいましたが、最後に一つだけ。
2025年10月29日にZepp Shinjukuで開催される3Dバーチャルライブに申し込みました。第一部はTINGSメンバーのステージ、第二部は声優さんのイベントらしいです。現地参加は難しそうだったけど、オンライン視聴ができるので本当にありがたいですね。
それでは、また。
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