おはこんばんちは。
面白そうだという評判を耳にして、『野狗子: Slitterhead』を手に取ってみました。
ちなみにPVなどは一切見ておらず、どういう作品なのかすらほとんど知らない状態でのプレイです。
それでは、野狗子: Slitterheadのレビューを綴っていきます。
作品概要
対応機種 | PlayStation 4 PlayStation 5 Xbox Series X|S Windows(Steam・Epic Games) |
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プレイ機種 | PlayStation 5 |
発売日 | 2024年11月8日 |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
レビュー時点のプレイ時間 | 約15時間 |
レビュー時点のプレイ状況 | ストーリークリア 難易度:ノーマル |
レビュー時点のソフトウェアバージョン | Ver. 1.000.001 |
プレイ動画
良かった点
一般人の命が軽すぎる
本作は一般人の命があまりにも軽いです。
ここまで一般人を雑に扱える作品は、他にあまり思いつきません。
とはいえ、ちょっと攻撃しただけですぐ死ぬ──なんてことはありません。高所から落としたり、自爆させたりしても意外と耐えるし、ダウン状態なら復活もできます。
それでも、ためらいなく自爆させられる時点で、命とは…?とは思います。
でもこの本作においては、憑依できる体さえあれば、元の一般人がどうなろうがどうでもいい。仮に犠牲が出ても、一般人は時間経過で沸いてくるし、キャラクターによってはスキルで呼び出せたりもする。
だから、わりと躊躇なくガンガン犠牲を出していけてしまうんですよね。
そう考えると、野狗子よりも主人公の方がよほど怖い存在なのかもしれません。
とはいえ、犠牲者を減らしてクリアすること達成できる事もあるため、雑には扱いつつも犠牲者にはならないようにする立ち回りも求められます。
この命の軽さは本作だからこそ体験できます。
ちなみに、犠牲者を増やすことでエンディングが分岐するようなシステムがあったら、さらに面白かったかもしれませんね。
憑依を駆使した戦略的プレイ
本作では、ストーリー進行や戦闘を含め、希少種と呼ばれる能力持ちのキャラや一般人に憑依して行動していくのが大きな特徴です。
例えば、逃げる野狗子を追うために憑依して先回りしたり、希少種を助けるために憑依してその力を借りたりと、他の作品にはないユニークな体験が味わえます。
戦闘面でも、一般人のスキルで野狗子を釣り、そのスキに憑依して別キャラを救助する──といった戦術が可能。
憑依の使い方次第で立ち回りの幅が広がるのはとても面白かったです。
野狗子のデザインについて
野狗子には、モンハンのフルフルのような寄生体から、魚介や昆虫など実際の生物をベースにしたものまで様々なタイプが存在します。
寄生体のデザインは純粋にグロテスクで不快感を覚える一方、生物ベースのものはグロテスクでありながら、どこか美しさも感じさせる独特のデザインです。
さらに、立ち姿が元の人間と同様に二足歩行であったり、攻撃モーションにパンチのような動きがあったりして、モーションから「本当に人間が寄生された」というリアリティを感じられるのも良かったです。

名前も個性的で、「ツマグロカマキリモドキ野狗子」や「オオマルモンダコ野狗子」など、ちょっと早口言葉のように読みたくなるユニークなものが多いのも印象的でした。
独特な世界観と舞台の魅力
舞台は九龍をイメージしたネオン街ですが、裏路地や建物内部の汚れた雰囲気が非常に良く作り込まれています。
正直、グラフィックは最新作のように美麗というわけではありません。しかし、逆にその粗さが本作の独特な雰囲気を醸し出していて、絶妙なバランスになっていると感じました。

また、単なる広さよりも高さに力を入れている印象があり、ワイヤーアクションで看板に登って街を見渡すと、その世界観をじっくり味わえます。
加えて、R18ならではの表現もあり、より深みのある舞台になっていると感じましたね。
イマイチな点
戦闘全般
戦闘に関しては、かなり残念でした。
アクションというジャンル上、戦闘の面白さはかなり重視しているのですが、それが期待外れだったため、2周目をやる気になれませんでした。
ターゲット切り替えの難しさ
まず、ターゲット切り替えが全然簡単ではないです。
1対1ならまだしも、基本は1対複数なので特にキツイ。
多くのゲームでターゲット切り替えはRボタンが多いですが、本作ではRスティックがディフレクト(弾き)にフル活用されているため、ターゲット切り替えができません。
切り替えようとすると、一旦構えを解除してまた向きを変えて構え直す必要があり、これがかなり面倒です。
周囲からの攻撃はそこまで激しくないものの、構えていない時はターゲット切り替え、構えた時はディフレクトのように操作を分けてほしかったところです。
また、ステージによってはHPが減ると逃げる野狗子もいますが、逃げている最中に倒すパターンもあり、ターゲットが安定しないせいで非常にやりづらく感じました。
正直、戦闘をやるのが億劫になるレベルでした。
希少種の場所がわかりづらい
希少種は強い輝きを放っているため、見つければわかるのですが、見つけるまでが一般人とほぼ同じで見分けがつきにくいです。
せめて希少種だけ色を変えるなどの工夫が欲しかったですね。
憑依時に時の流れが遅くなるため探す猶予はありますが、それでも探す段階でストレスを感じることがありました。
効果音が物足りない
一般人限定ですが、通常攻撃時の効果音が非常にしょぼく感じます。
棍棒のような武器を使っている無力感の再現としては高いと思いますが、攻撃している感覚が薄く、気持ちよさに欠けるのが残念です。
無力な一般人だからこそ、せめて音だけでも爽快感がほしかったですね。
繰り返し感の強さとステージ構成
本作はタイムリープものなので、同じような展開になるのは仕方ない部分ではあります。
ただ、場所があまり変わらないため、別のステージでも同じような展開を延々と繰り返している感覚が強いです。
地面から屋上まで縦に広く使っているのは評価できますが、もう少し場所のバリエーションが欲しかったというのが正直なところです。
ボイスと没入感について
ストーリー自体は悪くないのですが、ボイスがあまりなく、言葉のリアリティが薄いせいか没入感が弱かったと感じました。
もちろんフルボイスでなくてもいいので、例えば『ゼルダの伝説』のように「やぁ」といった一言だけでも声があると、より世界に入り込みやすいと思います。
可能であれば、日本語ボイス対応も期待したいところです。
最後に
今回は『野狗子: Slitterhead』を紹介しました。
正直、最初プレイしたときは全体的に面白いとは思えませんでしたが、進めていくうちに戦闘以外の部分は比較的楽しめるようになりました。
ただ、俺はストーリーよりアクションを重視するタイプなので、最後まで戦闘を楽しめなかったのは正直残念です。
もし戦闘がもっと楽しかったら、年末年始に2周目をやっていたかもしれない──それくらいの可能性を秘めた作品だと感じました。
それでは、また。
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